【2026年度予算案】過去最大115兆円超の閣議決定:防衛費・少子化対策の「あれなんだっけ?」を徹底解説

政治

政府は2026年度(令和8年度)予算案の最終調整を終え、その全貌が明らかになりました。一般会計総額は122.3兆円規模に達し、当初予算として2年連続で過去最大を更新する見通しです。クリスマスの華やいだニュースの裏側で、私たちの生活、税金、そして将来の負担に直結する「国家の家計簿」が決定されようとしています。

「なぜ毎年、過去最大を更新し続けるのか?」「防衛費や子育て支援金は具体的にいくら増えるのか?」「金利上昇が予算にどう影響しているのか?」――。本記事では、多忙な年末に聞き流してしまいがちな予算案の重要項目について、感想や主観を排し、客観的な事実とデータのみを用いて深掘り解説します。


1. 2026年度予算案の全体像:122.3兆円の正体

2026年度予算案の最大の特徴は、歳出総額が120兆円の大台を突破したことです。2025年度当初予算(約115.2兆円)から約7兆円の大幅な積み増しとなります。まず、主要な数字を整理します。

項目想定額(2026年度案)主な特徴
一般会計総額約122.3兆円当初予算として過去最大を更新
社会保障関係費約39.1兆円高齢化に伴う「自然増」と物価高対応
国債費(借金返済)約31.3兆円金利上昇により初めて30兆円を突破
防衛関係費約9兆円規模「防衛力整備計画」に基づく大幅増
税収(歳入)約78.4兆円物価高・賃上げに伴う過去最大の見込み

この膨大な予算を支えるのは、過去最大の税収見込みですが、それでも足りない分は29.6兆円規模の新規国債(借金)で賄われます。国の家計における「借金依存度」は依然として高い水準が続いています。

2. 【あれなんだっけ?①】防衛費増額と「5年で43兆円」の進捗

ニュースで頻繁に耳にする「防衛費の大幅増」。これは2023年度から始まった「防衛力整備計画」という5カ年計画に基づいています。2026年度はその4年目にあたり、最も予算が積み上がるフェーズに入っています。

具体的な使い道:何を買うのか?

9兆円規模に及ぶ防衛費の内訳には、日本の防衛政策の根本的な転換が反映されています。

  • スタンド・オフ防衛能力:1,000km以上の射程を持つミサイルの量産や配備。これには「トマホーク」の導入や、国産の「12式地対艦誘導弾」の能力向上型が含まれます。
  • 統合司令部の本格運用:陸海空を統合的に指揮する「統合作戦司令部」の体制強化にかかる費用。
  • 持続性と強靭性:弾薬の備蓄確保、自衛隊施設の耐震化や地下化、通信網の抗堪性(攻撃を受けても維持する能力)向上。

防衛増税はどうなったのか?

防衛費増額の財源として議論されてきた「防衛増税(法人税・所得税・たばこ税の付加税)」については、2026年度予算案でも具体的な開始時期の明示は避ける形となりました。現在の「高政権」の方針に基づき、当面は税収増分や決算剰余金の活用を優先する姿勢が継続されています。

3. 【あれなんだっけ?②】こども・子育て支援金制度の開始

2026年度予算のもう一つの柱が、少子化対策の「加速化プラン」です。年間3.6兆円規模の予算を投入し、子育て世帯への直接給付を強化します。特に注目すべきは、2026年4月から徴収が開始される「支援金」です。

支援金の徴収メカニズム

新たな増税ではなく、「社会保険料への上乗せ」という形で全世代から徴収されます。2026年度から段階的に徴収額が上がり、2028年度に完成する計画です。

個人負担の目安(試算値)

2026年度からの徴収額は、年収に応じて以下のような目安が示されています。

  • 年収400万円の会社員:月額約650円程度
  • 年収600万円の会社員:月額約1,000円程度
  • 国民健康保険加入者:月額約550円〜750円程度

※これらは労使折半(企業と従業員で半分ずつ負担)の場合の本人負担分です。企業側も同額を拠出するため、企業経費の圧迫要因としても議論されています。

4. 【あれなんだっけ?③】「想定金利3.0%」という劇的な変化

今回の予算案で、専門家が最も「歴史的転換点」と指摘しているのが、国債費の計算に用いる「想定金利」の設定です。2025年度の2.0%から、2026年度は3.0%へと大幅に引き上げられました。

なぜ金利想定を上げるのか?

日本銀行が金融正常化を進め、政策金利を引き上げている実情を反映したものです。財務省は年度途中の金利上昇による予算不足を防ぐため、保守的に高めの金利を設定する必要があります。3.0%という数字は、実に29年ぶりの高水準です。

利払い費が防衛費を上回る現状

金利が1%上昇すると、将来的に国の利払い負担は数兆円規模で膨らみます。2026年度予算では、借金の返済と利払いのみに充てられる「国債費」が31.3兆円に達しました。これは予算全体の25%を超えており、社会保障費に次ぐ巨大な歳出項目となっています。防衛費(9兆円)の3倍以上の金額が、過去の借金の精算に消えていく計算です。

5. 社会保障費の「自然増」と物価高対応

予算案の中で最も大きなパイを占めるのが、39.1兆円に達した社会保障関係費です。これには「高齢化に伴う自然増」と「物価高・賃上げ対応」の2つの側面があります。

高齢化による4,000億円の増加

団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となったことで、医療費や介護費の支出は制度上、自動的に増え続けています。2026年度もこの「自然増」として約4,000億円が追加計上されています。

医療・介護現場の賃上げ対応

近年の物価上昇と深刻な人手不足に対応するため、医師や看護師、介護職員の賃上げを促進するための診療報酬・介護報酬の改定分が含まれています。これは現役世代の保険料負担増に直結する一方で、サービス供給体制の維持には不可欠なコストとして計上されています。

6. 誤解されやすい「予算案」の真実

インターネット上で散見される情報について、客観的事実に基づき整理します。

Q: 「過去最大の税収なら、借金(国債)を減らせるのでは?」
A: 事実。 2026年度の税収見込みは約78.4兆円と過去最大ですが、歳出の伸び(122.3兆円)がそれを大幅に上回っています。結果として、約29.6兆円の新規国債発行が必要となっており、収支のギャップは埋まっていません。

Q: 「防衛費のために福祉が削られているのか?」
A: 事実ではない。 社会保障費も過去最大の39兆円規模に増額されています。予算案の構造としては「どちらかを削る」のではなく、国債(借金)を増やすことで「どちらも増やす」という拡大均衡の形をとっています。

7. まとめ:2026年度予算が私たちに強いる「選択」

2025年12月25日に示された2026年度予算案は、日本が「低金利・低成長」の時代から、「金利のある世界」へと完全に移行したことを象徴しています。過去最大の122.3兆円という数字は、以下の3つの重い事実を突きつけています。

  1. 負担の可視化:子育て支援金や社会保険料の増大により、現役世代の可処分所得への影響がより直接的になる。
  2. 金利リスクの顕在化:利払い費が予算を圧迫し、政策的な自由度(新たな施策に使えるお金)が奪われつつある。
  3. 安全保障と次世代への投資:防衛力の強化と少子化対策という、国の存立に関わる課題に巨額の資源を配分し始めている。

年明け1月から始まる通常国会では、この予算案の妥当性が厳しく審議されます。私たちが納める税金や保険料が何に使われ、将来にどのような負債を残すのか。この記事が、年末の慌ただしい中でその「現在地」を把握する一助となれば幸いです。

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