心臓に関する病気は、命に関わる重大なものが多く、早期の理解と対策が大切です。
その中でも「心筋虚血(しんきんきょけつ)」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
本記事では、心筋虚血とは何か、どのような症状が出るのか、似た病気との違いや予防法についてわかりやすく解説します。
心筋虚血とは?
心筋虚血とは、心臓の筋肉(心筋)に十分な酸素や栄養が行き届かない状態を指します。
これは、心臓に血液を送る「冠動脈(かんどうみゃく)」が何らかの原因で狭くなったり、詰まったりすることで起こります。
本来、心筋は血液を通じて酸素や栄養を受け取り、絶えず収縮と拡張を繰り返して全身に血液を送り出しています。
しかし冠動脈が狭窄すると、運動やストレスによって心臓の酸素需要が高まったときに供給が追いつかなくなり、胸の痛みや息苦しさといった症状が現れます。
主な症状
- 胸が締めつけられるような痛み(狭心症のような感覚)
- 胸の圧迫感や違和感
- 肩・腕・あご・背中にかけての放散痛
- 息切れ、動悸
- 疲れやすさ(特に階段の上り下りなど)
※症状は数分でおさまることもあれば、長時間持続する場合もあります。
類似する病気との違い
心筋虚血は、以下の病気と混同されることがあります。それぞれの特徴も合わせて知っておきましょう。
狭心症(きょうしんしょう)
心筋虚血の代表的な症状で、運動時やストレス時に胸が痛むが、安静にするとおさまるのが特徴です。
- 原因:冠動脈の一時的な血流不足
- タイプ:労作性狭心症、安静時狭心症、異型狭心症 など
心筋梗塞(しんきんこうそく)
心筋虚血が長時間続いた結果、心筋の一部が壊死してしまう状態です。命に関わる緊急疾患です。
- 症状:強い胸痛が15分以上続く、冷や汗、吐き気、失神
- すぐに救急車を呼ぶ必要があります
心不全(しんふぜん)
心筋虚血が続いた結果、心臓が十分に血液を送り出せなくなった状態。
- 症状:息切れ、むくみ、倦怠感、体重増加 など
- 急性・慢性のタイプあり
原因となる主なリスク因子
心筋虚血の原因は、冠動脈の動脈硬化による血流障害が多くを占めます。以下のような生活習慣病や生活因子がリスクを高めます。
- 高血圧
- 高コレステロール・高LDL
- 喫煙
- 糖尿病
- 肥満
- 運動不足
- ストレス過多
- 加齢(特に男性は50歳以降)
心筋虚血を予防するには?
心筋虚血は、日々の生活習慣の改善によって十分に予防が可能です。以下のポイントを意識しましょう。
1. バランスの良い食事
- 野菜、魚、豆類を中心に
- 動物性脂肪を控え、塩分を減らす
- 加工食品やトランス脂肪酸の摂取を避ける
2. 適度な運動
- 1日30分程度の有酸素運動(ウォーキング・軽いジョギングなど)
- 医師に相談の上、自分に合った運動強度で継続する
3. 禁煙
- 喫煙は冠動脈を収縮させ、動脈硬化を加速します
- 禁煙外来などの活用も検討しましょう
4. ストレスマネジメント
- 睡眠をしっかりとる
- 趣味やリラックスできる時間を確保
- 深呼吸やマインドフルネスなども効果的
5. 定期検診を受ける
- 血圧・血糖・コレステロール値を定期的にチェック
- 心電図やエコー、運動負荷試験なども医師の指導のもと受けましょう
まとめ
- 心筋虚血とは、心筋に十分な血液が行き届かなくなる状態のことです。
- 胸痛、圧迫感、息切れなどが代表的な症状です。
- 狭心症や心筋梗塞との関係性が深く、重症化を防ぐことが大切です。
- 予防には食事、運動、禁煙、ストレス管理、定期健診が有効です。
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