3月中旬の集中回答日が迫る中、2026年の春季労使交渉(春闘)が佳境を迎えています。連合(日本労働組合総連合会)は3年連続で5%以上の賃上げを要求。特に注目されるのが、業績に関わらず人材を手放さないための「防衛的賃上げ」に踏み切る中小企業の増加です。
2026年春闘の焦点:格差是正と中小企業
今年の春闘で連合が掲げる数値目標は、大企業・正規雇用で5%以上、中小企業で6%以上、非正規雇用で7%以上というものです。非正規への高い目標設定は、日本の雇用労働者の36%を占める非正規労働者の処遇改善が、日本全体の賃金底上げに不可欠との認識を反映しています。
一方、経営側の経団連は「業績連動を基本としつつも、人材確保のために前向きに対応する」との姿勢を示しており、例年に比べ協調的な交渉が展開されています。
「防衛的賃上げ」とは何か
防衛的賃上げとは、会社の利益や売上が大幅に改善していなくても、優秀な人材の流出を防ぐために賃金を引き上げることを指します。特に人手不足が深刻な中小企業において、この動きが顕著です。
求人倍率が高い現状では、賃上げをしなければ即戦力の社員が大企業や競合他社へと転職してしまいます。採用・育成コストを考えると、賃上げのほうが長期的にコストを抑えられるという計算も働いています。
長崎県のアパレル企業の事例では、賃上げ原資を確保するために店舗1か所を閉鎖。従業員を新設部署に再配置し「多能工化」(複数業務をこなせる人材育成)を推進することで、生産性向上と賃上げを両立させる試みを行っています。
非正規雇用の処遇改善:課題と取り組み
日本の非正規労働者の平均賃金は、正規雇用の約65%にとどまっています(厚生労働省調査)。この格差を縮小するため、いくつかの先進的な取り組みが広がっています。
- 同一労働同一賃金の徹底:パートタイム・有期雇用労働法の施行以降、職務内容が同一であれば同等の賃金を求める流れが定着しつつある
- 正規転換の促進:一定期間勤務した非正規従業員に正規雇用への転換機会を提供
- スキルアップ支援:資格取得・研修への投資で付加価値を高め、賃上げの根拠を作る
まとめ
2026年の春闘は、単なる賃上げ交渉を超え、日本の労働市場の構造改革を問う場となっています。中小企業の「防衛的賃上げ」は苦肉の策ではありますが、人材を中心に据えた経営への転換点ともいえます。賃上げの流れが非正規・中小まで広く波及するか、今後の集中回答日の結果が注目されます。


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