関西国際空港（関空）周辺の大阪湾で、小型のイルカであるスナメリ（Neophocaena asiaeorientalis）の定着が確認されつつあります。都市近郊の海域でスナメリが生息するのは珍しく、注目を集めています。
スナメリとは？
スナメリは、体長約1.5～1.7メートル、体重50～60キログラムの小型のクジラ類で、背びれがなく、背中に小さな隆起があるのが特徴です。日本では、瀬戸内海や伊勢湾、東京湾などの沿岸域に生息しています。食性は多様で、小魚やイカ、エビなどを捕食します。
関空周辺での定着状況
神戸大学の岩田高志助教（動物生態学）らの研究チームが、2022～2024年度に実施した調査により、関空周辺の大阪湾でスナメリの定着が確認されました。この地域は禁漁区に指定されており、漁業活動が制限されているため、エサとなる魚類が豊富で、スナメリにとって好適な環境が整っているとされています。
スナメリの生態と特徴
- 背びれがない：スナメリは背びれがなく、背中に小さな隆起があるのが特徴です。
- 浅い海域を好む：水深10～20メートルの浅い海域に生息し、沿岸部や河口付近でも見られます。
- 単独または小さな群れで行動：通常は1～3頭の小さな群れで行動し、社会性はあまり高くありません。
- 超音波でエサを探す：エコロケーションと呼ばれる超音波を使って、泥の中に隠れたエサを探します。
保全活動と今後の展望
関空周辺のスナメリの定着は、海洋環境の改善や生物多様性の回復を示す好例とされています。しかし、船舶の航行や海洋開発などの人間活動がスナメリの生息に影響を与える可能性もあります。今後は、スナメリの生態調査や保全活動を継続し、共存を図る取り組みが求められます。
まとめ
関空周辺でのスナメリの定着は、都市近郊の海域における生物多様性の回復を示す明るいニュースです。今後もスナメリの生息環境を守り、持続可能な海洋利用を目指す取り組みが重要となります。
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